脉診流 そあら鍼灸院
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矢印不妊・妊娠・出産の鍼灸治療
 
 20152月に松本が学会で講義をした時に使用した抄録です。

「不妊・妊娠・出産の鍼灸治療」

2015/2/8  松本敏樹


1月経と成長について

人間は生まれて成長し、子孫を残し、やがて老いていきます。

人の成長・発育・生殖能力について「精」と「天癸」が関わります。

『素問』上古天真論では、腎精の盛衰の変遷について書いてあります。

  「 二七にして天癸至り、任脈通じ、太衝の脈盛し、月事時を以って下る。故に子あり。」

※天癸

①男女の腎の精気②月経のこと③元陰の別名=腎陰(精は陰気であり、腎にある津液中に蔵され、腎の津液と合わせて腎陰)漢方用語大辞典より

※太衝

※太衝とは腎脈と衝脈と合して盛大であるので太衝という。古人はこの経脈と女子の月経とは極めて重要な関係があると考えていた。王冰『現代語訳素問』東洋学術出版より

現代語訳

十四歳になると、天葵が発育・成熟し、任脈はのびやかに通じ、太衝の脈は旺盛になって、月経が時に応じてめぐってきます。だから子供を産むことができます。

 

   「三七に して腎気平均す。故に真牙生じて長極まる。」

※平均-充満  真牙-親知らず

21歳になると、腎気が充満し、智歯が成長して、身体の丈もまたのびきります。

 

   「四七にして筋骨堅く、髪の長極まり、身体盛壮なり。」

28歳になると、筋骨はしっかりして、毛髪ののびも極まります。この時期は身体が最も強壮である時期です。

 

   「五七にして陽明の脈衰え、面初めて焦(やつ)れ、髪初めて堕つ。

※顔面と髪際を上行しているので、もし経気が衰退すると、顔面を養うことができなくなり、顔面がやつれ髪が抜ける

35歳になると、陽明経の脈が次第に衰え、顔面部はやつれはじめ、頭髪も抜けはじめます。

 

   「六七にして三陽の脈上に衰え、面皆焦れ、髪初めて白し」

※三陽(太陽、陽明、少陽)の脈は尽く頭に上る。そこで三陽が衰えると顔色がみなやつれ髪が白くなりだす」。

42歳になると、三つの陽経の脈はすべて衰えてしまいます。それゆえ顔面部はまったくやつれ、頭髪もまた白くなりはじめます。

 

   「七七にして任脈虚し、太衝の脈衰少し、天癸竭き、地道通ぜず。故に形ついえて子なきなり。」

※地道通ぜず-月経停止

49歳になると、任脈は空虚となり、太衝の脈は衰え、天癸は竭きて、月経が停止します。それゆえ身体は老い衰えて、もう再び子を産むことはできません。

 

 

2月経について

<西洋医学>

月経が始まった日から次の月経が来る前日までを、1回の月経周期とします。

その期間は、一般的には25日~38日間です。

月経周期を調節しているホルモン分泌の中枢は視床下部にあります。

視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンが分泌され、下垂体を刺激し、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)が分泌されます。

FSHは卵胞を発育させる働きがあり、LHは成熟した卵胞を排卵させます。排卵後の卵胞は黄体となり、黄体からはプロゲステロンが分泌され、子宮内膜が着床しやすいように変化させます。妊娠が成立しなければ、プロゲステロンが低下して子宮内膜が剥がれ落ち月経が来ます。

月経周期を調節するこの一連働きを、視床下部-下垂体-卵巣系と呼ばれます。

排卵を境に卵胞期(低温期)と黄体期(高温期)に分かれます。

<漢方的解釈>

腎は精を蔵し、肝は血を蔵し、脾胃が気血津液を作り出し、臓腑の気血が集まり衝任脈が充満し、子宮が血で満たされ月経となります。

そして「天癸」「気血」「経絡」「五臓」の働きの関わり合いが重要です。

 [奇経]

奇経で月経と最も密接に関係しているのは、衝脈、任脈、督脈、帯脈です。

ⅰ衝脈「衝」とは要という意味。十二経脈の要衝で気血が集まり、諸経も調節する。

衝脈は「十二経の海」「血海」と呼ばれている。

 

ⅱ任脈は任養・担任の意味を持つと言われている。陰経の全ての機能を統括する作用があって「陰脈の海」と呼ばれる。

 

ⅲ督脈は陽経の経絡の機能を統括しているため「陽経の海」と呼ばれる。「脊を貫きて腎に属す」ため腎と密接な関係がある。

 

衝脈、任脈、督脈、は、一源三岐と言われ、胞宮から起こり、異なった道を流れ、ともに帯脈をまとう。

ⅳ帯脈は腰腹部を一周して衝脈・任脈・督脈の三脈と交会して、三脈相互の調整をする。

衝脉は任脉と皆胞中に起り、上つて脊裏を循り、経絡の海となる。 其の外に浮ぶものは腹を循りて上行して咽喉に会し、別れて脣口を絡う。故に曰く、衝脉は気衝に起り、足の少陰の経に並びて臍を侠んで上行し、 胸中に至つて散ず。此の病たる人をして逆気裏急せしむ。難経に則ち曰く(二十八難)。足の陽明()の経に並ぶ。
穴を以て之を攷ふるに、足の陽明(胃経)は臍の左右各々二寸を俠みて上行し、足の少陰(腎経)は臍の左右各々五分を俠みて上行す。針経(甲乙経、銅人) に載する所、 衝脉と督脉と同じく会陰に起り、其の腹に在るや幽門、通谷、陰都、石関、商曲、肓兪、中注、四満、気穴、大赫、横骨、凡て二十二穴を行く。皆足の少陰の分なり。然るときは衝脉は足の少陰の経に並ぶこと明けし。
 
帯脉は季脇に起る。身を回ること一周。其の病たるや腰腹縦容として嚢水の状の如し。其の脉気発する所は季脇の下一寸八分に在り。正に帯脉と名く。其の身を回ること一周して帯の如くなるを以てなり。又足の少陽(胆経)と維道に会す。此れ帯脉の発する所、凡て四穴。 

[気血]

気血津液は人体のあらゆる生理活動の基礎となるもの。

月経発生の機序を考えると、血は月経の基礎物質。気が動けば血が動き、気が停滞すれば血も停滞し、気と血は依存関係にある。気血が調和であれば、月経も正常。

 

[臓腑]

「胞絡は腎に繋る」

「腎と胞宮とは密接に関係している。」『素問』奇病篇

腎は親から受け継いだ先天の精貯蔵し、後天の精から絶え間なく補充を受けて生殖発育の根源となります。

そして腎精は血と相互転化します。腎精から血を生成するので、腎精は血の原料であり、月経や妊娠の物質的基盤となっています。

腎陽(命門の火)は全身を温める陽気の大元です。働きが衰えると冷え月経異常、不妊症などが起こります。

腎は女性の生理機能の中で主導的役割を果たしています。

 

疏泄を主る。血の蔵す。血量のコントロールして衝脈を制御して胞宮の生理機能を調節しています。

経絡では肝経が曲骨穴で任脈と頭頂部で督脈に交会し、任脈・督脈を通じて胞宮に関与します。肝は筋を主っており、子宮は筋でできています。肝経は子宮を通っているので、月経不順、月経痛、閉経、不妊などの婦人科疾患との関連も深い。

冷えや血に関わる問題が起こりやすく、血は婦人科の問題に関係が深い。

 

脾は運化を主る。月経の基本的物質となる血を生成します。

後天の精が盛んになれば、衝脈・任脈の気血も盛んになり、胞宮の生理機能も正常を保つことができます。

脾経は中極穴で任脈と交会して、任脈と通じ間接的に胞宮と関係する。

 

心も胞宮と関係します。

胞脈は心に属して胞中に絡す『素問』評熱病論篇

※胞脈(胞絡)は子宮に至る経脈。胞中は子宮。

『霊枢』論疾診尺篇に神門の脈が甚だしければ妊娠と述べており、胞脈は心と繋がっている。

奇病篇に胞絡は腎に繋るとあるので、胞絡は心と腎に繋がっている。

 

「肺は百脈を朝す」全身の血脈が肺に集まり、また全身に血液を送り出す働きがあるため肺は胞宮の機能に影響を及ぼす。

 

 

3月経不順

月経周期が安定せず、期間が短くなったり、長くなったりすることです。

実際、子どもが欲しいということで来院されたとき、月経不順だったりすることは多い。しかも月経が安定的に来るようにするだけで、妊娠する方も多いものです。

したがって月経が正常であることが不妊治療でも基本となります。

 

3-1頻発月経

<西洋医学>

月経周期が異常に短いものを頻発月経(24日以内)といいます。

排卵までの期間が短い場合、排卵後の高温期が短い場合、また排卵しないままに生理が来てしまうことが考えられます。

頻繁に月経が起こるため貧血にも注意が必要です。

<漢方的解釈>

先ほどの月経のメカニズムの変調です。

(衝任脈の変調。肝、腎、脾、の病変が衝任の変調を引き起こす。)

また、朱丹溪は「予定より早く月経が始まるのは血熱である」と述べています。

熱が血を動かすので経血も早く訪れます。虚熱によるものと実熱によるものとを鑑別して考えます。

虚熱→血量が少なく・色が鮮紅で・薄く・臭いがない。手のひらや足の裏が熱い。

陰を傷り内熱が生じ、発症。

実熱→血量が多い・色が深紅・濃い・粘稠で臭いがある・煩燥・口が乾く。便秘を伴う。尿が濃い。元々内熱があるところに(体質的に陽盛の人など)辛い物を食べたりすると(陽が亢進して)熱が発生し(衝任脈を傷り)、胞宮に熱がこもり発症する。

 

3-2稀発月経

<西洋医学>

月経周期が異常に長いものを稀発月経(39日以上)といいます。

排卵までに時間がかかっている場合や、排卵しないままに生理が来てしまうことが考えられます。

原因はホルモンのバランスの乱れや甲状腺機能が低下している場合に起こります。

排卵があれば妊娠可能なので、長くても心配はありません。無排卵の場合は無月経になる可能性があるので注意が必要です。

<漢方的解釈>

血虚で冷えているものが多い。血が不足しているため子宮に血が満たされず遅れがちになる。

また腎精不足によるものもある。経血の源は腎にある(精血同源)。腎が盛んであれば、衝脈・任脈が通じで月経が予定通りくるが、腎気の虚があるため衝脈・任脈を養えず、経血を満たせず予定通り月経が来ない。

 

 

4過多月経

<西洋医学>

器質性疾患と機能性疾患に分かれます。器質性疾患は悪性の子宮体癌・子宮頸癌、良性のものは子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどです。

機能性疾患は女性ホルモンの異常や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患です。

<漢方的解釈>

病理は基本的に頻発月経と同じ。

 

 

5過少月経

<西洋医学>

出血量が極めて少ない。子宮の未発達やホルモンの分泌異常、無排卵などが考えられる。

<漢方的解釈>

血虚:血海を満たせず月経量が減る。虚弱体質や大病、慢性疾患で血虚となる。あるいは飲食労倦や思慮過度で脾虚となって生産できず血虚となる。

脾虚(生成不足)や肝虚のため子宮内への気血の供給低下。腎精不足と同様の傾向を示す。血虚で子宮が冷えているため、過少月経の人は周期が遅くなり、小腹部の虚冷感を伴うことが多い。

腎虚:腎気が不足すると精血が充実しないため血で子宮を満たせない。

脾の運化失調:痰によって経絡が滞り血と結びつくと、血が滞る。それで血で子宮を充分に満たせなくなると月経量が減る。

経血をコントロールする衝任は腎に属しているため、多産や流産、房事過度によって腎気が不足していると経血に影響を与える。

瘀血:寒邪が子宮に侵入すると血が冷えて滞る。

 

 

6無月経

<西洋医学>

18歳になっても初経が起こらない原発性無月経と、これまであった月経が3ヶ月以上停止した続発性無月経に分かれます。

一般的な無月経は続発性無月経なので、ここでは続発性無月経に関して述べます。

「月経について」の項で述べた、月経周期を調節する視床下部-下垂体-卵巣系のどこかの異常によって、結果的に無排卵や無月経などの症状が現れます。

・視床下部性無月経

神経性食欲不振症、体重減少性無月経、薬物による無月経、心因性無月経、原因がはっきりしない場合の無月経の大多数の場合など

・下垂体性無月経

下垂体腫瘍、高プロラクチン血症など

・卵巣性無月経

早発閉経、ゴナドトロピン抵抗性無月経、多囊胞性卵巣症候群など

・その他

子宮内の癒着など

<漢方的解釈>

肝虚陽虚:肝の血が不足したために血海が満たされず月経が来ないパターン。更に多産、流産などで腎精も血も不足して、衝脈・任脈が虚し月経が来ないパターンがある(肝腎の虚)。

脾虚陽虚:脾胃が虚し養う材料がないため月経が来ない(ダイエットをして材料不足になって血が足りなくなっていたり、昔ダイエットをしてそれからずっと無月経など)。

また、運化が失調して痰飲が気血を滞らせると無月経となる。

 

 

7月経痛

<西洋医学>

器質性と機能性に分けられます。

器質性は子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などが原因で起こるものです。

機能性はハッキリした原因がないもので、痛み物質が出てしまうものや、心理的なものがあります。

また日常生活に支障が出るほど強いものを、月経困難症といいます。

<漢方的解釈>

痛みの原因は女子胞(子宮)と女子胞に分布する経脈の気血の滞りや不足によります。

気の滞りは脹った痛み。全身の気の量の不足・ストレス、感情の抑鬱による肝の疏泄の低下などがある。飲食の不摂生などでできた痰飲が気の流れを阻害することもある。

気の滞りは血の流れも悪くする。

血の滞りは刺すような痛み、持続的な痛みです。

陽気の不足や湿邪によって直接血の流れが滞り瘀血となります。

 

肝虚陽虚:血虚による陽虚のため内まで冷えが生じたもの。

腎虚陽虚:命門の火が衰えることで子宮が温まらず、冷えが生じて血が滞る。月経中や月経後に下腹部が冷えて痛む。

寒邪や湿邪:寒湿の邪は下部を侵す。すると血の運行が順調でなくなり、月経前や月経中に下腹部が冷えて痛む。

肝腎の虚:労働、房事過度によって肝腎を損傷し、精が虚し血が少なくなると、月経後には充満していた子宮の血が空虚となり、子宮はさらに栄養されなくなる。そのため下腹部痛が続く。生理中や後に少腹がシクシク痛む。

脾虚:運化作用が失調し産生できず気血が虚していると、子宮の血が更に虚し、下腹部がシクシクと痛む。下腹部や陰部に空虚感・下垂感。

脾虚肝実:子宮に熱がこもってしまった熱入血室状態も月経痛を起こす。

 

 

8PMS(月経前症候群)

<西洋医学>

月経の310日前から出るイライラ、怒りっぽい、抑鬱状態、食欲不振、乳房痛、頭痛、浮腫などの症状で、月経とともに減退・消失するものをいう。

<漢方的解釈>

多くが情志による内傷や思慮過度、肝の疏泄の失調による。

肝は疏泄作用によって情志が良好に働くように調節している。肝の疏泄作用の失調によって、精神活動も失調し、情緒不安定や精神の抑鬱症状、怒りなどが起きる。

肝の疏泄作用の失調が脾胃に及べば食欲不振など消化器症状が出る。

また脾が運化作用が失調すると気血の生成が低下し、心神が滋養されなくなり情志不安定などの症状が現れる。

 

 

9不正出血

<西洋医学>

不正出血とは月経時以外に出血があった場合、全てが不正出血です。原因は多岐にわたります。まず「器質性出血」と「機能性出血」の二つに分けられます。

「器質性出血」とは、子宮、卵巣、膣などに腫瘍、炎症、外傷等によって起こる出血です。良性と悪性に分けられます。

悪性の出血は子宮頸ガン、子宮体ガン、子宮肉腫等。

良性の出血は子宮筋腫、子宮膣部びらん、子宮頸管ポリープ、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ等があります。

その他、子宮外妊娠や性交による接触出血等があります。

「機能性出血」とは、主にホルモン(主に卵胞ホルモンや黄体ホルモン)の分泌バランスの乱れによる出血です。月経は女性ホルモンの分泌によってコントロールされています。そのためそのコントロールが乱れることで女性ホルモンの分泌バランスが崩れ、不正性器出血として表れます。原因はストレスや急激なダイエットです。また排卵の前後にはホルモンの急な変化がおこるために出血する中間出血(排卵出血)、着床の時期や更年期の女性にも起こることがあります。

<漢方的解釈>

不正出血のことを崩漏といいます。特に『崩』は勢いがあり、量の多い出血、『漏』はだらだらと絶え間なく続く出血。

大きく分けて「脾の統血作用失調」「血熱」「瘀血」「腎虚」による出血等がある。

脾の統血作用失調による出血

固摂作用により、一緒に外に漏れ出ないように包んでいるというのが脾の働き。運化機能が旺盛であれば、気血が充実し、気の固摂作用も旺盛で血が漏れ出ない。統血作用が低下するために崩漏となる。

症状:血便、血尿(潜血)、崩漏、月経過多。だらだらと長い

原因:飲食の不摂生、勞倦、思慮過度、久病

血熱による出血

熱が過剰になると出血しやすくなる。血の運行が熱によって促進され、甚だしい場合には血が経脈外に漏れて出血する。

症状:量が多く鮮血。月経周期が短い。顔色が赤い、のぼせ、ほてり

原因:辛いもの、アルコール、イライラやストレス、熱邪など。

瘀血による出血

瘀血が子宮に停滞して、新しい血が子宮に入れず溢れ出し出血する。

症状:月経痛が重い、周期が遅れがち、月経過多、月経時の塊が多い、黒っぽい、時に多く時に少ない。

原因:外傷、流産、出産、手術、ストレスなど

腎虚による出血

年齢と共に変化する腎精の盛衰のための出血。腎の精を蔵する作用や、固摂の失調により出血する。)。

思春期の場合は腎の機能が未発達のため。

更年期の場合は腎の機能が衰えてきたため。

また腎陰が不足したため虚熱が子宮内に停滞し、血流を加速させるために出血する。

症状:月経周期が乱れる。早い。量は少ない。鮮紅または暗紅。

原因:先天の元気不足、出血過多、精血不足、出産の回数が多い、津液不足、房事過多など。

 

 

10不妊症

<西洋医学>

不妊症とは、夫婦が妊娠を希望し2年以上性生活を行っているにもかかわらず、妊娠しない場合をいう。

しかし希望してから1年間で妊娠しなければ、検査・治療を受けることが一般的となっている。

 

不妊症の原因

ⅰ内分泌排卵因子卵巣機能不全、多囊胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、ストレス・ダイエット

ⅱ頚管因子頚管粘液(おりもの)の問題

ⅲ卵管因子ピックアップ障害、卵管閉塞・狭窄、卵管周囲癒着、卵管水腫

ⅳ子宮因子子宮奇形、子宮筋腫、ポリープ、内膜が薄い

ⅴその他:子宮内膜症、着床不全

以上の原因に対する基礎的な検査を2周期ほどかけて順次行う。

 

検査

ⅰ内分泌排卵因子:基礎体温、ホルモン測定、超音波検査

ⅱ頚管因子フーナーテスト(頚管粘液と精子の相性をみる。相性が悪いと精子が子宮内に侵入できない)、頚管粘液検査

ⅲ卵管因子:卵管造影検査(造影剤を子宮口から注入し、卵管の通過性や子宮の形をみる)、超音波検査、クラミジア検査

ⅳ子宮因子:卵管造影検査、超音波検査

 

一般的には以下の治療法を3-6周期行い、結果が出なければ次の治療法にステップアップする。

 

検査の結果や年齢、本人の希望によって初めから高度な治療から入ることもある。

タイミング療法:医師の指導によって排卵の時期を予測して性交を行う。

人工授精:カテーテルを子宮内まで入れ、精子を子宮腔内に注入する。

体外受精:採卵により排卵前に卵巣から取り出した卵子と精子を、体外で受精させる。その後、正常に受精した受精卵を、子宮に移植する治療法。

 

<漢方的解釈>

古来、不妊症は「不孕、絶産、絶嗣、絶子、無子」などと表現されている。

上古天真論では、人間の一生の中の腎の盛衰について記載されている。女性が妊娠することに関し、まず一番のベースとなっているのは腎の気である。

そして血も妊娠には大きく関わる。

女性は月経があるため血の病になりやすい。

気血のバランスを失い気が偏って高ぶりやすくなり、特に生理前に感情面に影響を及ぼしやすく、肝の疏泄が悪くなり肝の機能が低下する。

肝は血を蔵し、肝血の不足と機能の低下によって、気血の流れがうまくいかず衝脈・任脈の不調を引き起こしやすく婦人科疾患が発症しやすい。

肝の機能の調整は婦人科には重要な治療。

また瀕湖脈学に「女性が右尺中に濇脈を現わしている場合に孕まず」と出ており、血の問題が関わります。

他にも妊娠しにくい理由は、瘀血や痰飲など様々な要因が考えられる。

漢方医学的に原因が何かを考えて治療することが重要。

 

 

-妊娠中のこと-

11妊娠初期の治療について

『脉経』にそれぞれの月数にそれぞれの経が関係して子を養っていると書かれています。

「婦人懐胎、一月の時は足厥陰脈養う、二月は足少陽脈養う、三月は手心主脈養う、

四月は手少陽脈養う、五月は足太陰脈養う、六月は足陽明脈養う、七月は手太陰脈養う、

八月は手陽明脈養う、九月は足少陰脈養う、十月は足太陽脈養う、

諸の陰陽は各養うこと三十日活児するも、手太陽少陰養わざるは、下は月水を主り上は乳汁をなして活児し養母すればなり、懐妊はその経に灸刺すべからず、必ず堕胎せん」

『脉経』平妊娠胎動血分水分吐下腹痛証第二

(1ヶ月目:肝経  2ヶ月目:胆経  3ヶ月目:心包経  4ヶ月目:三焦経  5ヶ月目:脾経  

6ヶ月目:胃経  7ヶ月目:肺経   8ヶ月目:大腸経  9ヶ月目:腎経  10ヶ月目:膀胱経)

 

【妊娠を判別する方法】『脉経』より

その手の少陰脈を診し動甚だしきは妊子なり、少陰は心脈なり、心は血脈を主る、また腎は胞門、子戸と名づく、尺中は腎脈なり、尺中の脈これを按じ絶せざるは妊娠に法るなり。

三部脈の沈浮正に等しく、これを按じ絶する無きは有娠なればなり~。

 

12つわり・妊娠悪阻

<西洋医学>

つわりの症状は悪心(吐き気)、嘔吐、唾液量の増加、だるさ、頭痛、眠気、食欲不振、嗜好の変化などです。

明確な基準はありませんが、妊娠悪阻とはつわりの症状が悪化し、食物の摂取が損なわれることによる栄養障害・体重減少の他、様々な症状を呈し治療を必要とする状態です。治療は輸液療法などがあります。

<漢方的解釈>

6~12週頃が特に辛い方が多い印象です。程度の差はあれ、稀に出産するまで辛い方もいます。

脾胃が弱い、痰飲の場合:体質的に脾胃が弱かったり、普段から甘い物の食べ過ぎなどで体内に余分な水分が溜まっていて、痰飲がある場合、それが熱を持つことで嘔吐しやすくなる。

肝の疏泄失調の場合:疏泄の失調が木尅土で胃に影響を及ぼし、胃の降濁作用が働かなくなるため症状が出やすくなります。

 

13安産灸

戦後、産婦人科医の石野信安先生は「逆子の灸」と「安産の灸」を発表されました。

(『女性の一生と漢方』  緑書房  石野信安著   参照)

石野先生の著書から、安産灸についての記述を抜粋すると、安産灸の効果は、

「子どもの胃腸が丈夫で、リズム感が発達し、からだが敏しょうに動く、妊娠中には、足のむくみやだるさがとる。出産の折には陣痛が軽くすむようになる」等です。

三陰交にお灸をします。その総数は、

五、六カ月は七壮。七、八カ月は十四壮。九、十力月は二十一壮。

私は安産灸のスタートはしっかり胎動を感じ始めてからにしています。

胎動を感じ始めるのは1820週位です。早い人は16、遅い人は22週位。

この差はお母さんの腹壁の厚さや羊水のなど量に違いがあるからです。

 

14逆子

<西洋医学>

逆子とは、28週以降で、頭が恥骨側にあって、臀部や足が上腹部側にある場合を「正常位」「頭位」といい正常な状態です。

頭が上腹部側に臀部が恥骨側にある場合を「骨盤位」、いわゆる「逆子」といいます。

「逆子」には、殿位、膝位、足位があります。

分娩時のリスクが高い順として、足位、膝位、殿位となります。

初めに出てくる部位が大きいほどリスクが低くなります。

【原因】多くは不明、その他子宮の形、骨盤の形、子宮筋腫、前置胎盤、羊水過多・過少、多胎など

<漢方的解釈>

「婦人横産、手を先ず出して、諸の符薬効あらざるを治す。右小指に三壮灸して立ちどころに平産す。」『和漢三才図絵』

始めは難産の治療として使っていました。

現在はそれを応用し、逆子の時によく使われています。

 

【頭をどこに向ける?】

赤ちゃんは頭を熱のある部分に向けたがります。足が冷えている方に逆子が多いと感じますが、下に頭を向けると居心地が悪いので、陽が旺盛な心臓のある上に頭を向けるのだと思います。

陽気を補い原気が臍下丹田に充実してくれば、足の冷えも取れ、頭を下に向けるため戻ります。

 

至陰について

赤ちゃんが逆さまになっているのも陰陽が逆になっています。

至陰は陽が尽きて陰が始まるツボで陰から陽に転換するポイントで、陽と陰の狭間にあるツボです。陽から陰に働きかけ、陰と陽のバランスを取るのに使いやすいツボです。

 

参考文献

現代語訳黄帝内経 素問 東洋学術出版社

現代語訳黄帝内経 霊枢 東洋学術出版社

霊枢訳注』 家本誠一 医道の日本社 

素問訳注』 家本誠一 医道の日本社

『脈経』池田政一 たにぐち書店

『難経解説』 東洋学術出版社

『和漢三才図絵 経絡・肢体部』寺島良安 たにぐち書店

新版『漢方鍼医基礎講座』 漢方鍼医会

『日本鍼灸医学』経絡治療学会

『全訳中医婦人科学』 羅元 たにぐち書店

『中医婦人科』朱小南 東洋学術出版社

『図解十四経発揮』本間祥白 医道の日本社

 
 
 
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