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妊活お役立ちコラム

2024/02/28

おうち妊活

妊活中の糖質制限は必要?肝は血糖値|PCOS・老化・卵質に関わる糖質

ある漫画で心に残るセリフがあります。

「口に入れるものでしか身体は作れんのよ。
それにね、口に入れるものを管理できるのも自分だけなんよ。」
(サチのお寺ごはん3巻より)

食事は妊娠しやすい身体作りの基本。

私自身、食生活を改善した後、普段感じていた体の重だるさが一気に解消され、これまで寝て過ごしていた休日をアクティブに過ごせるようになったため、いかに食生活が大切かを思い知らされました。

とはいえ、同じものを食べても人によって体の反応が違います。
こってりしたラーメンを食べて元気いっぱいになる人もいれば、胃がもたれてしまう人も。

このように体の反応が人それぞれ違うためか、食養生には様々な考え方があります。

食事療法に挙げられるものの1つが糖質制限。
不妊治療のクリニックの先生の中には糖質制限を推奨する方もいらっしゃいます。

ここで糖質について、糖質制限を推奨する人の考え、逆に糖質制限を反対する人の考え、著者の考え方についてまとめています。

    もくじ


糖質制限とは

糖質制限とは糖質の量をコントロールする食事法です。

糖質制限に関係する本は多く出版され、糖質制限によるダイエット法は一時かなり流行しました。

ではそもそも糖質とはどのような役割を果たすのでしょうか?


【糖質の役割】~全身のエネルギー源~

糖質とは三大栄養素である炭水化物の一部。
糖質と炭水化物が一緒くたになる方もいると思いますが、糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物です。

糖質を摂取すると血中から全身の組織に運ばれ脳や体のエネルギーの源になります。

そして過剰に摂取した糖質はグリコーゲンや脂肪組織として貯蔵され、空腹時や激しい運動で消費されます。

糖質は素早くエネルギーに変換される点が特徴の1つ。

例えば、棋士の方々が対局中に甘いものを食べるのは脳へエネルギーを供給するためと考えられています。


糖質制限賛成派の考え



不妊治療のクリニックの先生方のブログを読んでいると、糖質制限を推奨する意見があります。
それは糖化やAGEs(終末糖化産物)が不妊を引き起こすと考えるからです。


血糖値と卵子の質~老化を早める糖化+AGEs~

年を重ねると同じ年代でも見た目に大きく差があります。
人によって老化の早さが違うことが原因ですが、老化の1つの原因が糖化。

糖化とは体の余分な糖がタンパク質と結びつき、細胞を劣化させる現象です

この糖化が進むと老化を促進するAGEsが産生されてしまい、体の老化を早めてしまう上、AGEsがある箇所は機能が低下してしまいます。

糖化・AGEsは例えると体に焦げです。

砂糖が多い卵焼きを焦がしてしまった経験はありませんか?
糖化・AGEsは焦げた卵焼きと同様、体内に焦げて変性してしまった状態。

AGEsが蓄積すると体の老化が進み、肌のシミ・しわ・たるみ、骨粗鬆症、動脈硬化などのリスクが高まります。

もちろん卵子も老化の影響を受けます。

なぜなら卵子はタンパク質で構成されているので、卵子のタンパク質と糖が結びついて糖化すると卵子の状態を悪くさせると言われています。

また、多嚢胞性卵巣症候群の原因の1つはインスリンの効きが悪くなっているインスリン抵抗性と言われています。

インスリンは血糖値を下げるホルモンであり、高血糖が続くとインスリン抵抗性を引き起こすことに。

そのため、PCOSの女性の卵巣はAGEsが多く産生されていると論文でも発表されています。

不妊症と糖化最終生成物(advanced glycation end products: AGEs)の関連についてはいくつかの報告がある。健康な女性と比べてPCOS女性の卵巣細胞や血管内皮細胞ではAGEsとRAGE(receptor for AGEs)の高発現が認められている。
(総説論文:日本語翻訳版)
糖化ストレスとアンチエイジング : 11.糖化ストレスと不妊症
https://www.toukastress.jp/webj/article/2019/GS19-01J.pdf

卵子老化サインについてはこちらに詳しく記載されています。



糖化を抑える糖質制限のやり方~専門家それぞれの考え~

糖質制限に賛成の方の意見は糖化を抑えるために、糖質を一定数制限することを推奨しています。
どれだけ制限するかは専門家の中でも意見が分かれており、いくつかご紹介します。


糖質制限第一人者~江部康二医師の考え~

江部康二医師は糖質制限食の第一人者であり、スーパー糖質制限・スタンダード糖質制限・プチ糖質制限と3段階に分けて糖質量を制限しています。

  • スーパー糖質制限   糖質量 1食あたり10~20g、1日30~60g
  • スタンダード糖質制限 糖質量 1日70~100g
  • プチ糖質制限     糖質量 1日110g~140g


ロカボ~山田悟医師の考え~

山田悟医師は「ロカボ」、緩やかな糖質制限を推奨しています。

1食あたりの糖質量を20~40gに加えて嗜好品として10g。
1日あたりに70~130gに糖質を制限。

また、下限を設定し、必ず70g以上は糖質を摂取するよう推奨しています。


糖質制限のメリットは?~結果が出やすい~

糖質制限には以下のメリットがあります。

  • ・体重を落としやすい
  • ・手軽に取り組みやすい
  • ・空腹感を我慢しなくていい

糖質のコントロールは比較的早く結果がでやすい傾向にあります。
また、甘い物・主食を抜き、脂質は特に制限がないので分かりやすく取り組めるものと言えます。


糖質制限反対派の考え



糖質制限反対派の考えの方の意見を見ると、糖質制限推奨派と同じように過剰な糖質摂取には懸念をしています。

しかし、過度に糖質を制限することに懸念を示しています。

ここでは管理栄養士の幕内秀夫氏の考え方をお伝えします。

幕内氏は「粗食の勧め」などを出版され、日本の風土に合った食事を推奨しており、日本の食生活の欧米化による悪影響を述べています。

特に問題視している点は日本人が米を食べる量の減少。

幕内氏は食べ物を栄養素のみで考える事を否定している為、「糖質」という言葉は使いません。

しかし、米に含まれる微量のビタミン類の重要性を説いています。
米が減る事でビタミン類が減り、油や砂糖の摂取が増えることを危惧しているのです。


糖質だけでは語れない食物繊維の存在

上記で述べたように糖質というのは炭水化物の一部です。
炭水化物は糖質と食物繊維で構成されているものです。

では炭水化物に含まれる食物繊維の量により身体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

糖質を摂取すると血糖値が上がり、インスリンが分泌されることで筋肉・肝臓・脂肪で糖を取り込むよう指令が送られます。

本来は食事をとっても緩やかに血糖は上昇しますが、この血糖が急上昇・急降下すると血管にダメージを与えたり、インスリンの効きが悪くなったり体に不具合を生じます。

この血糖の急上昇を防ぐ役割を果たすものが食物繊維。

つまり糖質はセットとなる食物繊維をどう摂取するかがポイントになります。


本当に糖質制限は必要か? 

確かにBMIが30以上ある、糖尿病の人、過剰に甘いものを食べている人などの中には糖質制限が必要な方もいらっしゃるでしょう。

糖質制限反対派の人は過剰に糖質を減らしたり、必要以上に体重を落としたりすることを懸念しています。

糖質を抑えることより上記で述べたように食物繊維と合わせて糖質を摂取することを推奨しています。


糖質制限のデメリット

糖質制限のデメリットには以下のものが挙げられます。

  • ・低血糖から引き起こされる頭痛や眠気
  • ・便秘
  • ・筋力低下

ここで特に妊活と関係するものは便秘と筋力低下です。

便秘が直接妊娠しにくい身体になるわけではありませんが、炭水化物を制限すると食物繊維が減る傾向にあり、腸内環境が乱れてしまいます。

腸内環境を整えることは妊活にも繋がります。

詳しくはこちら
また、筋力が低下すると筋肉に糖を取り込む力が減少してしまい、インスリン抵抗性を引き起こしやすくなってしまいます。


著者の糖質制限への考え方



著者自身、ダイエットのために糖質制限を行ったことはあります。

元々お肉が大好きなので、主食を抜いてボリュームのあるお肉を食べれば空腹感がでないのではないかと安易な気持ちで始めました。

結果、空腹感は確かに感じないものの、集中力と思考力が著しく低下して、仕事に支障をきたすためすぐに糖質制限は中止しました。

ご飯を食べるようにすると、調子が戻ったので私に糖質制限は合わないように感じました。

そもそも私はチョコレートや餡子など甘いものは大好きです。
しかし、甘いものは依存性があり、一度食べると習慣化しやすいように思います。

一度食べると甘い物を毎日のように食べてしまい、食べ過ぎてしまう傾向に。

そのため、糖質を一切排除する必要はないものの週末だけのご褒美にするなど、控える必要があるように思います。


糖質を抑えるのではなく、血糖値の急上昇を防ぐためには

糖質制限賛成派も反対派の中で1点共通点があります。
それは血糖値が急激に上げないこと。

糖質制限賛成派は血糖値を急上昇させないために糖質制限を推奨し、糖質制限反対派は食べ方の工夫を説いています。

ではどのように食べれば血糖値の急上昇は防げるのでしょうか?


食べ方の順番を工夫して血糖値を緩やかに

血糖値を急上昇させないためには食べる順番が重要です。

上記で述べたように糖質を摂取する際は食物繊維を合わせて摂ることで血糖値を急激に上げることを防ぎます。

まずは食物繊維が豊富な野菜の多いサラダやスープ、次に肉や魚などのメインディッシュでタンパク質をとり、最後にご飯やパンなどの糖質をとります。

食物繊維が豊富なものから食べ、糖質が多い主食を最後にすることで同じものを召し上がっても血糖値の上がり方が穏やかになります。


糖の種類に注意!成分表示をチェック

食品成分表をチェックすると「果糖ブドウ糖液糖」という成分を見かけたことはありませんか?

これは異性化糖という、サツマイモやトウモロコシなどのデンプンから作られた甘味料で、ジュースや調味料など様々なものに使われています。

異性化糖は果糖が多く含まれていますが、これはブドウ糖に比べて8~10倍AGEs産生されると言われています。

なお、果糖と聞くと果物に多く含まれていると考えられがちですが、果物には果糖の量はあまり多くなく、食物繊維やビタミンが多く含まれているため、果物は適量でしたら問題ありません。


筋力アップした糖質コントロール

食事以外でも血糖を下げる方法があります。

それは筋力トレーニングなどで筋力を高めること。

食後に余ったブドウ糖は肝臓・筋肉にグリコーゲンとして備えられ、脂肪組織に脂肪として貯蔵されたります。

つまり筋肉はブドウ糖を取り込み、血糖コントロール・グリコーゲンの貯蔵に重要な役割を持っています。

筋肉・運動量が少ないとブドウ糖の取り込む力が減ってしまい、インスリン抵抗性を引き起こします。

やせ型の方は筋肉が少ないため筋力トレーニングがお勧めで、体重が肥満傾向にある方は有酸素運動が特にお勧めになります。


血糖をコントロールしながら卵胞が育つ取り組みをした施術例

大学病院の主治医から妊活のGOサインがようやく出たため、血糖値をコントロールしながら取り組みました。

主な目的は二つ。

  • 血糖をコントロールし卵胞が育つ後押しをすること
  • 質の良い卵子が採卵できる環境づくりを行うこと
さらに、妊娠後の持病のコントロールが重要な課題でした。

定期的に鍼灸に通われました。
そして持病のこともあり、食生活やセルフケアをとても熱心に取り組まれました。

たくさんの大きな壁があったのですが、ご本人様の努力の甲斐あり、胎嚢確認までに18回施術を行い、その後無事ご出産されました。

しんきゅうコンパスさんに詳しく口コミを書いていただけましたので、参考としてそちらを転載いたします。


持病がありながらも45歳でご出産された患者様の口コミ

持病による胎児への影響がなくなった今年初め、超高齢出産と言われる44歳ではありましたが、最後のチャンスと思い体外受精に挑戦する決心ができ専門病院での治療が始まりました。

同時期、そあら鍼灸院のことを
「妊娠しやすい身体づくりをするには、専門の鍼灸を同時に受けると身体全体が整うので効果がありいいみたいよ」
と知人に紹介いただき、年齢的にも最後のチャンスだし、できることは何でもしてみよう!の精神で通院させていただくことになりました。

病院では先生方はとてもお忙しく、的を得ない初歩的な質問や不安などを聞いていただくことは難しいと感じていましたし、「〇〇さんの場合は、とにかく年齢が・・・」の一言で、いつも撃沈していましたがそあらさんでは、先生方もスタッフの皆さんも不妊治療というデリケートな治療に励んでいる患者さんに対して真摯に向き合ってくださり、
いつも心に寄り添って話を聞いていただけたことは、精神的にどれだけ救われ心の支えになっていただけたかと思うと感謝の気持ちでいっぱいです。

私の場合、持病の数値を常に安定させながら体外受精の治療を並行していたので、生活習慣や食事、運動のバランスも大切でしたが
これまで何年もかけて取り組んでも、年齢からくる血液検査の不調は否めなく・・・・悩めるところでした。

ところが、そあら鍼灸院に通い始めて2か月がたった頃持病の数値だけでなくその他の血液検査(腎臓・肝臓・膵臓など)
全ての血液検査に改善がみられ、主治医からは「すべての臓器に問題なく、今が赤ちゃんをお迎えするタイミングとして一番いい時期ですね。」とうれしい言葉をいただき、初めての移植に期待も膨らみました。

一か月後、無事着床し、現在妊娠4か月です。
幸いつわりも軽く、先生方やスタッフの皆さんのお蔭で順調に過ごすことができています。

そあらさんとの出会いがなければ、心にゆとりを持つこともできなかったですし、自分の身体に自信が持てなければ、赤ちゃんも私を選んでくれなかったのではないかと思うくらい、そあら鍼灸院に通院したことが妊娠に繋がったと思っています。

まだ安定期に入っておらず不安も残りますが、出産まで引き続き通わせていただきたいと思っております。

持病あり、超高齢出産(出産時年齢45歳)の私でも
自分を信じ、たくさんの周りの方々に支えられながら妊娠できました。
皆さんのもとにも、きっと可愛い赤ちゃんがきてくれることと心よりお祈りしております。


まとめ


私自身、元々食事指導ができるようになりたいと思い食養生について過去に色々勉強していました。

しかし、勉強する内に食事療法には多くの考え方があり、何が正しいかが分からなくなりました。
そして、同じ食べ方をしていても身体に受ける影響は大きく違うことを感じる機会が増えました。

私はマクロビオティックに興味が湧き、お肉大好きな私が動物性たんぱく質を一切排除した生活を送った時期があります。

結果、常に力が抜けるような感覚になり仕事にも支障がでたため、中止しました。

一方、肉魚を食べない食生活を10年以上続けている友人がいます。
友人は肉魚を食べないことで身体の調子がいいと言っています。

食事療法は個人差が大きいため、自分に合うかよく考える必要があります。

ただし、甘いものが習慣になっている方は糖質が過剰になっている可能性大です。

毎日食べていると糖質が過剰である自覚が湧きにくいので、自分の食生活を一度記録して客観的にみることもお勧めです。

人の身体は食事から作られています。

自分の生活リズム、同居家族の食の好み、何よりも自分の体を機敏に感じ取り、自分に合った食生活を送っていただく事が大事だと思います。


この記事の著作者

鍼灸師 あんまマッサージ指圧師 楠本 敦子

「東京漢方鍼医会」会員

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。

この記事の著作者

院長 松本 敏樹

不妊カウンセリング学会 認定不妊カウンセラー
一般社団法人「日本生殖医学会」会員
妊活コーチ/妊活コーチング
東京漢方鍼医会 代表

より詳しい内容はこちらをクリックしてご覧ください。
■■【妊娠しやすい身体づくりの方式と不妊鍼灸3本柱】◆◆
数万例超の臨床実績から導き出した方式
〔①不妊鍼灸3本柱×②不妊カウンセリング×③おうち妊活〕

・不妊鍼灸3本柱(「妊娠脈づくり」「刺さない鍼」「鍼灸おすすめ日」)
・不妊カウンセリング(「妊活情報/クリニック選び」「認活」)
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